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2015年7月26日日曜日

東芝の教訓(2)ー内部監査は社長直轄にするな

内部監査部門は、社長直轄ではなく、監査委員会(監査役、監査等委員会)直轄とし、監査委員会(監査役、監査等委員会)が内部監査を指揮命令すべきである。

東芝の有価証券報告書(平成26年3月期)の「コーポレートガバナンスの状況等」には下記のように記載されている。経営監査部(内部監査部門)は、社長直轄であり、社長の指揮命令下にあった。そのような状況では、社長の意に反するような監査は実施し得ず、不正な会計処理に気づいていたとしても、それが社長の指示に基づいた結果であれば、監査上の指摘事項とすることはできない。

下記の記述では、監査委員会には専任スタッフがいたとしているが、経営監査部の44名に比べると少人数であったことは間違いないだろう(第三者委員会報告では「監査委員会の補助スタッフとして、財務・経理に精通した人員が多く配置されていなかった。」と記述されているだけであり、人数は不明 )。

実際上、日本企業においては東芝に限らず、委員会設置会社でも、このように運営されている監査がほとんどである。従来の監査役設置会社の考え方から抜け出ていない。

内部監査部門は、監査委員会直轄とし、監査委員会が内部監査を指揮命令すれば、社長を監査の対象とすることができ、社長の不正も見抜くことができる。「社長は悪いことをするはずがない」という前提は誤りであることが、東芝事件により明らかになった。内部監査部門を監査委員会直轄にする委員会設置会社が増えてくることが望まれる。

なお、東芝の場合、監査委員会委員長が元CFOであり、社長の意向に従って不正会計を指揮していたのであるから、監査委員会が機能不全を起こしていたという別の問題があった。

新会社法により導入された監査等委員会設置会社では、委員会設置会社と同様に、内部監査部門を監査等委員会の直轄にすべきである。

監査役設置会社の場合は、内部監査と監査役スタッフを分け、内部監査は社長が直轄する実務が定着している。監査役にしっかりした監査をしてほしくないから、社長が内部監査を手放さないだけであり、監査役が内部監査を直轄しても会社法違反にならない。(社長直轄の内部監査を監査役が指揮することはできないので、監査役スタッフというのが生まれた)

いずれにしても、前向きに企業成長を目指すのが仕事の社長が、内部監査のことを真剣に考える余裕はないし、そもそも監査の専門性もないということを理解しなければならない。多くの会社に定着している「内部監査は社長直轄」の考え方を見直す時期に来ている。

東芝の有価証券報告書(平成26年3月期)の「コーポレートガバナンスの状況等」の記述抜粋

社外取締役のスタフの配置状況については、監査委員である社外取締役3名に対して、専任の監査委員会室スタフがサポートしている

内部監査部門として、社長直属の経営監査部(人員:44名)を設置し、業務執行の正当性、結果責任及び遵法の視点から、社内カンパニー、スタフ部門、当社グループ会社等の監査を行っています。(中略)監査委員会は、当社及びグループ会社の内部統制システムの整備、機能状況の詳細な調査等を原則として経営監査部による実地調査に委ねています。経営監査部の監査結果については、監査委員会は都度報告を受けますが、当該報告等により必要と判断した場合は、監査委員会自ら実地調査を行うこととしています。」

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