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2015年9月23日水曜日

報酬委員会の仕事

指名委員会等設置会社(旧称:委員会設置会社)における報酬委員会について、役員報酬のコンサル専門会社の社長から話を聞いた。
報酬委員会の仕事は下記のように法定されている。
  • 報酬委員会(404条3項)
    • 取締役および執行役の個人別の報酬内容、または報酬内容の決定に関する方針を決める。
    • 執行役が委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねているときは、当該支配人その他の使用人の報酬等の内容についても決定する。
これを読むと、取締役と執行役全員の人事査定をして報酬を決めるのが仕事と理解できる。まあ、はっきり言って、社外取締役が過半数の会議体である報酬委員会が取締役と執行役の人事評価をする仕組みを構築して運用することは無理である。
報酬案を事務局が作成し、それを報酬委員会が追認するというのが、現状の日本における実態とのこと。

日本の取締役報酬で特徴的なのは、会長の報酬が社長より高い、ということ。これを合理的に説明することができるのであろうか。

結果として事務局案の承認をするとしても、報酬決定方針と取締役等の評価指標を報酬委員会で決めるべきである。理想的には、取締役、執行役(大体が兼務している)の上位3名の報酬を報酬委員会が決め、社長がそれ以外の取締役等の報酬を査定した結果を報酬委員会で承認するというのが米国でのベストプラクティスとのこと。

報酬決定方針を決めるのは容易ではない。たとえば、社長がオーナーであるような会社は、会社からの配当金が多額にあるので、役員報酬は一般に低い。他の取締役等はその社長より報酬が低くなってしまう。あるオーナー会社の議長の話では、社長はその点を理解しており、自分の報酬は業績報酬だけで固定報酬はゼロにしているとのこと。

あと、一つ勉強したのは、米国の指名委員会では社外取締役の指名を仕事としており、取締役の指名は、報酬委員会が行うとのこと。報酬査定をしておいて、その選解任に関わらないのは合理的でないという理由。わかりやすい。

ーポレートガバナンスコードでは、役員報酬の決定方針とその手続を決め、それを開示・公表することが求められている(原則3−1)。

もう一つ、役員報酬というと、税法改正案がある。コーポレートガバナンスコードでは、「健全な企業家精神の発揮にしするようなインセンティブ付け」(原則4-2)をすべきとしていることを受け、業績連動報酬の損金算入を検討中とのこと。こうなると、損金不算入の役員賞与との区別がつきにくくなるので、役員賞与も合理的な基準で支払うのであれば、損金にすればよい。


なお、東証1部、2部以外の上場会社には、コーポレートガバナンスコードのうち、基本原則だけが適用されることから、上記の原則3-1や4-1は適用されない。

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