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2015年9月24日木曜日

東芝の役員業績報酬

9月24日付の日経ビジネス「東芝トップの報酬は少なすぎる」によると、東芝の役員業績連動報酬は下記のとおり。
 「過去の社長の業績連動報酬を遡ってみる。2012年3月期は社長の佐々木則夫氏に700万円、2013年3月期は佐々木氏700万円、2014年3月期は佐々木氏500万円と2013年6月に社長に就任した田中氏に1700万円、2015年3月期は田中氏1000万円だった。中長期的に企業価値を高めるインセンティブとなる、株式報酬は採用していなかった。」
この記事では、総額で1億円ちょっとの報酬のほとんどが固定報酬だったとしている。年収2億円レベルが増えてきている現状で、日本を代表する企業トップの報酬にしては、総額は少ないというのが、この記事のタイトルの意味である。
この記事の論調では、東芝はもっと業績報酬を多くし、ストックオプションも支給したほうがよいということなのか。業績連動報酬を増やすと、社長はもっと頑張って粉飾するようになるとは考えられないか。エンロンはそうであった。粉飾して形だけの業績をあげれば、役員報酬が上がる。
プロの経営者ではなく、サラリーマン的な社長であれば、年功序列で給料が固定的なほうが合っている。東芝がそうであったとしたら、業績連動報酬は意味がない。また、サラリーマン的な社長であれば、業績連動報酬に関係なく、粉飾するときはする。
ルース・ベネディクトの「菊と刀」によれば、日本は「恥の文化」。「そんな決算は恥ずかしくて公表できない。」ということが、粉飾の原因と考えてもおかしくない。(社長は実際にそう言ったと第三者委員会報告書にある)
業績連動報酬より「恥」やその反対の「名誉」がインセンティブで日本の従来型経営者は動いてきたと見ると合点がいく。
そうなると、コーポレートガバナンス・コードで推奨している業績連動報酬を増やすことには、問題があると言わざると得ない。
卵か鶏かという話であるが、業績連動報酬の前にプロの経営者が社長にならなければならない。
とりあえずの結論:
プロの経営者=業績連動報酬は意味がある。
サラリーマン経営者=少なめの固定報酬で十分。業績連動報酬は無駄。
この結果、日経ビジネスの「東芝トップの報酬は少なすぎる」は誤りということになる。



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