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2016年9月10日土曜日

ESGの「ガバナンス」は企業成長戦略のこと

GPIFが国連の責任投資原則(PRI)に署名したこともあり、今後は一層上場企業によるESG対応が盛になると思います。ただ、企業のESG対応は、IR部門による後付け説明に終始している感もあります。GPIFを代表とする機関投資家が、下記の記事にもあるようにESG投資を重視するというので、企業もそれに対応する必要に迫られるという図式です。

サステナビリティ報告書の報告基準はトリプルボトムラインがグローバルスタンダードになってるのをご存知でしょうか。これはGlobal Reporting Initiative (GRI)が提唱したサステナビリティ報告の基準です。トリプルの3つは環境、社会、経済です。ESGとの違いは、「ガバナンス」か「経済」かです。

ESGというと、企業がIRのためにやらなくてはならないこと、という感じがします。企業としては、サステナビリティの取り組みとして、環境と社会はカバーしていたとしても、ガバナンスはこれまであまり熱心な取り組みをしていませんでした。

しかし、昨年にガバナンスコードが上場会社に導入されることになり、一転してやるべきことの一つになった訳です。やるべきことが環境と社会以外にもう一つ増えたと考える経営者が多いのではないでしょうか。

上記のとおりGRIは「ガバナンス」ではなく、経済(economy)と言っています。要するに企業が利益を出して中長期的に成長することです。サステナビリティですので、短期的な利益追求は対象外です。

ガバナンスコードを見たら、その目的が冒頭に書いてあります。中長期的な企業成長です。GRIの経済と同じですね(これは「攻めのガバナンス」と呼ばれたりしています)。投資家がESGを重視するにはなぜでしょう。ESGを重視する企業は成長するからではないでしょうか。儲からない会社には投資しません。

ガバナンスは上場会社に対する一種の締め付けであるかのように感じている経営者やIR部門の方がもしおられるようであれば、是非この機会に、ESGGは「企業成長」のことであると再認識して取り組んでいただきたいと思います。


「企業の環境対策 投資の判断材料、情報開示進む」  2016/8/14付日経
国際連合は2006年、ESGに配慮した投資を求める「責任投資原則」(PRI)を提唱。年金基金など世界の大手機関投資家はPRIに署名し、ESG投資を進めている。16年4月時点でPRIに署名した機関数は約1500に及び、総運用資産は約62兆ドル(約6280兆円)に達する。日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が昨年9月に署名した。

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