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2018年6月10日日曜日

リスク管理・内部統制・内部監査

 来週、ある会社のご依頼で、来週表記のテーマで役員に対する研修を実施します。リスク管理・内部統制・内部監査の関係については、いろいろな説明があるかもしれませんが、私は、内部統制と内部監査は、リスク管理のための道具であると説明することにしています。
 「東芝事件総決算」でも触れた4つの防衛線(ディフェンスライン)についてもお話する予定です。それとの関係で、企業不祥事が発生したときに、4つ目のコーポレートガバナンスで止めることができるか、それを超えてしまうかで、大きな違いが出ることも説明したいと思います。
 東芝では、2015年の不正会計発覚時はこの4つ目の防衛線であるコーポレートガバナンスで止めることができず、第三者委員会を設置することになりました。一方、原発工事会社のS&Wの巨額のれん減損については、2016年12月から監査委員会による調査を実施し、この4つ目の防衛線で食い止めることができました。
 後者の場合に第三者委員会に調査を委ねることになれば、上場廃止審査中であった東芝は、自浄作用が働かない会社として、上場廃止になった可能性もあります。
 監査委員会が調査を実施したということは、実は画期的なことです。監査役協会の監査役監査基準はどうなっているか調べてみました。次のように記載されており、監査役自らが調査を実施するという認識はないようです。

「監査役は、企業不祥事が発生した場合、直ちに取締役等から報告を求め、必要に応じて調査委員会の設置を求め調査委員会から説明を受け、当該企業不祥事の事実関係の把握に努めるとともに、原因究明、損害の拡大防止、早期収束、再発防止、対外的開示のあり方等に関する取締役及び調査委員会の対応の状況について監視し検証しなければならない。」(第27条)

 社外監査役が第三者委員会の委員になるという例もあるのでしょうか。「第三者委員会の委員に就任することが望ましい」と記載されています。社外監査役もコーポレートガバナンスの構成員ですから、社内の人間とみなされるのが普通と思います。監査役自身による調査が第三者委員会による調査の前にあるという考え方はしていないように思われます。
 
 社内調査 => 監査役(監査(等)委員)による調査 => 第三者委員会による調査

 であり、監査役による調査で食い止められたら、自浄作用が働いたとみなされ、第三者委員会による調査まで行ったら自浄作用は働かなかったと考えるべきと思います。

 これは、以前の私のブログに書いた、西村あさひの武井弁護士の第二層(取締役会)と第三層(株主・外部)の考え方と同じです。武井先生は、第三層まで行ってしまったら、何も知らなかった取締役も責任を問われることになると言われています。


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