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2016年6月24日金曜日

GPIFの受託責任の遂行

スチュワードシップ・コードは「責任ある投資家の諸原則」と訳されており、機関投資家がこれに従うことによって、企業の持続的成長を促そうというのが目的です。

我々の年金を運用するGPIFは、世界最大の年金基金であり、日本最大の機関投資家です。GPIFがスチュワードシップ・コードを率先して実践することは、アベノミクスの第3の矢の一つとして大事なことです。

GPIFは、スチュワードシップ・コードの受け入れ表明はしています。しかし、運用を他の機関投資家に委託しているため、スチュワードシップ・コードの受け入れ方針も委託先の機関投資家によるスチュワードシップ・コードの適用状況をモニタリングするというような書き方になっています。

もう少し、踏み込んだ対応ができないものかと筆者は、以前から考えていました。GPIF自体が株式保有できないというのは、理由にはならないと思います。下記の記事は、前向きな受託責任を果たそうという姿勢が見られる行動であると評価できると思います。

下記の記事をよく読むと、「GPIFが、運用委託先を通じて、損害賠償請求した」と書いてあります。場合によっては、運用委託先が損害賠償請求したのをGPIFが追認した、とも取れますが、GPIFからの発表が「運用委託先を通じて」となっているのだと思います。

ここまでできるのであれば、「運用委託先を通じて」個別企業の株主総会における投票行動にまで口をだすこともできるとも考えられます。ステークホルダーである国民の厳しい目にさらされているGPIFによる受託責任に関わる行動が注目されます。

公的年金、東芝・VWに賠償請求 不正会計・排ガス問題「株価下落で損失」

2016/6/24付
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、不正会計問題や自動車排ガス不正で株価が下落して損害を受けたとして、運用委託先を通じて東芝と独フォルクスワーゲン(VW)に損害賠償を請求した。機関投資家に資産の安定運用や投資結果の説明責任が求められるなか、損賠請求は避けられないと判断した。
 GPIFは個別企業の株式を直接保有できないため、信託銀行などに運用を委託している。今回はいずれも運用委託先の信託銀行が原告となり訴訟を起こした。
 GPIFは日本トラスティ・サービス信託銀行を通じて東芝株を保有している。同行が5月に東京地裁に東芝を提訴し、損害賠償の請求額は約9億6400万円。
 今回の賠償請求の対象はGPIFが保有する東芝株の一部にとどまる。請求額は今後、数十億円規模に膨らむ可能性がある。GPIFでは追加の賠償請求を検討中で、他の機関投資家が追随する可能性もある。東芝は「係争中のためコメントできない」としている。
 VWを巡っては3月にドイツで集団訴訟があり、運用委託先を通じて訴訟に参加している。5600万ユーロ(66億円)の損害賠償を求めている。