このように業績が悪くなった上場会社にファンドが入って上場廃止するケースは雪国まいたけ(これもベイン)を含め、数が増えてきました。ファンドとしては、EXITするために投資しているのですから、会社の売却か再上場を目指すことになります。何れにしても、そのためには業績回復が必須となります。
お金を出すだけでなく、経営に手を入れて業績回復させる努力をするわけですから、ファンドとしては、それなりの見返りがあって然るべきです。ただ、一般株主から見たら、業績が悪化して株価が下がった時に上場廃止され、再上場したら高い株価になっている、ということでは、株式を持ち続けて儲けるという機会を失うということになってしまいます。当然ながら、非上場の期間は業績の開示もされません。
業績が悪くなったタイミングで、ファンドが経営者と組んで、意図を持って上場廃止して再上場で儲けるということだと、一般株主の利益を害することになってしまいます。このようなことがないかについて、東証はしっかり時間をかけて審査しますよ、というのがこの記事の趣旨です。
このタイミングでこのような記事が出たのは、具体的な案件があるからと想像されます。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)とマクロミルは、年内再上場と言われていたのに未だに上場承認されません。多分、この審査に引っかかっているのだと想像されます。USJは独立系ファンドのMBKパートナーズとゴールドマンサックス系のファンド、マクロミルはベインキャピタルです。
12月1日には、「日本取引所グループは30日、2016年の新規株式公開(IPO)企業数が前年より約1割少ない84社になると発表した。年間で減少するのは7年ぶり。傘下の東京証券取引所や証券会社が上場審査を厳しくした影響が出た。」という記事も出ており、今年の新規上場が減少したのは、東証の審査強化が原因のようです。
日本取引所、再上場企業の審査強化
- 2016/12/2付
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