「コロナ騒ぎで株価が急落した東芝機械の買収防衛策は承認されるか」
https://kkbo-cg.blogspot.com/2020/03/blog-post.html で、3月27日の株主総会が注目されると書きました。
その臨時株主総会で、TOBを仕掛けた旧村上ファンド系投資会社に対する買収防衛策の導入・発動が62%の賛成票を得て可決されました。これにより、村上側は当初の予定どおりTOBを撤回することになりました。
コロナ感染拡大で株価が大幅に下落していた状況で、TOB価格が3456円。東芝機械の株価が2000円ぐらいですので、時価2000円の株式を村上側が1.5倍の高値で買う必要がありました。持株比率44%まで買うということでしたが、株主総会時点で14%ぐらいという報道もありました。
ISSが買収防衛策に賛成推奨したのが株主の背中を押した、経営方針についての提案をしないのはけしからん、という報道もありますが、そもそも村上側は株主総会に出席したのでしょうか?これについての報道は見つかりませんでした。
当然ですが、コロナ流行で株価が下がりすぎて、村上側はやる気をなくしていたはずです。株主総会では欠席し、議決権行使書面も提出しなかった(書面投票で棄権と書くと、出席扱いになり得票数の分母に含まれ、賛成比率が下がる)のではないかと勘繰りたくなります。
時価が2000円で取得価額が3000円近い(1年以上前から買い始めているためTOB価格より平均取得価額は低いはず)東芝機械株を村上側が売り始めると、さらに株価が下がるのではないかと心配になります。そもそも、村上側が買いを入れたため株価が3000円を超えてしまったということも言えるかもしれません(2018年12月末の株価はほぼ2000円)。
前回のブログに書いたように、この会社を株価4000円の良い会社にするのは非常に難しいと思います。この会社にはキャッシュが200億円ぐらいあるので、これを使って自己株の買い入れや高配当をさせて株価を吊り上げる作戦しかなかったので、経営方針については提案なし、だったのかもしれません。
あまり賢いTOBではなかったというのが結論と思います。
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2020年3月30日月曜日
経営改革の最終兵器 DXって何?
日経ビジネスの特集記事を読みました。
A社の社長のコメント
A社の社長のコメント
「研究所にいた社員が以前から、デジタルによるイノベーションの可能性を経営陣に何度もプレゼンテーションしてくれていました。最初は残念ながら私も理解していなかったですし、経営会議のメンバーも変化の大きさに食いついている感じではなかった。でも、マーケットや得意先、顧客の実態を分析して、現場に足を運んでみると、これはもう大変な変化が起きると思いました。昨年、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)職を設け、副社長の福士博司を就任させました。サプライチェーンのショートカットやマーケティングのROI(投資利益率)向上、研究開発のスピードアップなどのDXを進めています。5つの小委員会をつくり、キーマンを集結させました。これからはすべてがデジタルになります。」
何をやっているのか想像すると、CDOを設けたということですので、要するにアナリティックス(ビッグデータの分析)のようなことが中心でしょうか?
OA化、IT化、ICT化、SIS(戦略的情報システム)、MRP(資材所要量計画=生産管理)、ERP,アナリティックス、RPA、そういえば、EDI(電子データ交換)、電子商取引とかいうのもありました。新しい言葉を作って、盛り上げようとする売り手側の作戦とも取れますが、各社が経営改革に取り組むのであれば、どんな用語を使ってもよいと思います。
各社の立ち位置がいろいろですので、DXは上記の全部が入りそうです。各社が自分の立ち位置を考えて、何をやるかを決めて取り組めばよさそうです。
日本企業は、トップダウンで進められない風土がありますが、それを所与としていたのでは立ち遅れます。A社の社長は「最初は残念ながら私も理解していなかった」と言っていますが、日本ではこれが普通なので、これで責められることはないという考えなのだと思います。こんなことは恥ずかしくて言えないというところから始めてほしい。
とっても、現場の理解が得られない、という次のハードルがありますが、これは「雇用を守る」というメッセ―ジが強すぎるからだと思います。上の言うことを聞かなくても、クビにならないのであれば、言うことを聞きません。
日本企業の動きが遅いのは、こうゆうところが原因と感じています。
2020年3月18日水曜日
コロナ騒ぎで株価が急落した東芝機械の買収防衛策は承認されるか
コロナ騒ぎで、東芝機械がちょっとおかしなことになってきています。村上さんが3456円で東芝機械の株式をTOBするとしていますが、コロナ騒ぎで今の時価は2000円程度。東芝機械の株主は、村上さんに売れば十分儲かります。
東芝機械株の買付価格の3456円は、1月20日のTOB実施決定日の前営業日(1月17日)の終値3115円に10.95%のプレミアムを加えて決めています。
買付期間は同日から3月4日まででした。ところが、東芝機械は買収防衛策の是非を問う臨時株主総会を3月27日に開催すると発表し、旧村上側に対してTOB期間を延長するよう要請しました。
その後、村上さんが「株主がTOBの応募の是非を判断するのに時間が必要であるため」という理由で、4月16日まで延長しました。
東芝機械は総会での買収防衛策の承認を出席株主の過半数の賛成による普通決議としていますが、村上さんは、3分の2以上の賛成(特別決議)が必要としています。このあたりのところはよく分かりません。株主総会で承認されたとしても、決議無効の訴えを起こすということでしょうか。
村上さんは、持株比率44%を目指してTOBを実施するとしています。仮に44%まで買い進むことができれば、特別決議での承認は無理になるでしょう。村上さんは総会に出席して反対票を投じますので、出席株主の過半数を取るのも難しいかもしれません。
東芝機械の買収防衛策を見ておきましょう。村上さん(非適格者)を除く全株主に対して、新株予約権を無償で割り当て発行するものです。時価2000円程度の株式を持ってる株主に1割や2割の新株予約権を無償で発行しても、TOB価格の3456円には敵いません。
村上さんから見たらどうでしょうか。3456円は高すぎるので、この際TOBを撤回したいと思っているのかもしれません。しかし、撤回できるのは臨時総会で買収防衛策が可決されることが条件としており、TOBはそれ以外の理由では撤回できないそうです。
仮に、コロナ騒ぎなく株価が3000円ぐらいで推移していたら、この買収劇はいい勝負になっていたかもしれません。一般株主は経済原理で動くので、TOBに応じると思いますが、機関投資家がどのように動くのかが注目されます。
機関投資家は投資家のお金を預かって運用しているため、「受託者責任」があります。東芝機械を助けるために、儲かる機会を失ってよいのか、それをどう説明するのか、という点が論点です。
村上さんがTOBに成功した場合には、株価4000円を超えるような会社になってもらう必要があるでしょう。東芝機械の株価を調べてみたら、過去10年間で4000円を超えたのは1回しかありませんでした。
まずは、3月27日の臨時株主総会に注目しましょう。
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