会計士協会による税金の研修を受けてきました。講師の税理士さんから教えてもらったことです。
中小企業の事業継承対策に対して、銀行がお勧めするのはホールディングカンパニーの設立。これは、高齢の社長が息子に事業継承する際に、社長の会社を子会社にするホールディングカンパニーを息子が設立し、ホールディングカンパニーが銀行から借入をして、その資金で、会社の株式を購入し、子会社化するということを勧めるそうです。
そうすると、社長が保有する会社の株式をホールディングカンパニーが買い取ることから、社長に多額の資金が入ります。社長は嬉しい。社長は第三者ではなく、息子が株主のホーディングカンパニーに売るわけですから、しっかり事業継承ができるというわけです。
銀行としては、多額の資金をホールディングカンパニーに貸し付けができてハッピィーということになります。当然ですが、この前提条件は、しっかり儲かっており与信がある会社ということになります。赤字会社だと、銀行貸し付けの対象にはなりません。
このような提案書(30ページぐらい)を銀行はテンプレートとして作成しており、会社名や社長の名前を変えるだけで提出できるようにしているそうです。最初の28ページは、色々な制度の説明で、最後の2ページがこのようなスキームの提案になっているそうです。
このスキームの問題点は、社長の株式を買い取った時点で、社長に多額の所得税がかかることです。また、社長の会社 はそもそも儲かっている会社ですので、現金預金もあるはずです。その金をホールディングカンパニーに貸し付ければ、銀行借り入れは不要(または減額できる)になります。ホールディングカンパニーは、社長の会社から毎年配当をもらって、その資金で借り入れ返済ができます。
銀行は、大手税理士法人からアドバイスを受けて、自社の営業上有利になるようなスキームを考えているそうです(その税理士さんは、税理士法人から銀行に出向していた経験があると言っていました)。税理士法人がチェックしていることから、税法上は何の問題もないのですが、本当に社長の事業継承に役立つのか、ということは十分検討が必要です。
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