東芝の監査報告書は、読んでみると色々勉強になります。東芝のプレスリリースや有報だけでなく、それ以外の情報がマスコミ報道される状況は、まさに「東芝劇場」と言えると思います。
それでは、監査報告書「速報その3」です。今回は、内部統制監査にしようかと思いましたが、強調事項にも色々と記述されていますので、今回はこれを見ておきましょう。
監査報告書の<財務諸表監査>には、強調事項に該当する事項があれば記載することになっています。これは監査意見とは別に、財務諸表の読者に対して注意喚起する目的で記載されます。これがあるから、監査意見が「限定付き適正意見」になったということではありません。全部で4項目記載されています。
1. 継続企業の前提の注記
事業継続に重大な懸念があるときに記載される事項です。英語では「ゴーイングコンサーン」呼ばれます。財務諸表にこの注記が記載されており、監査報告書ではこのような注記が記載されていますよ、ということが記述されています。
会社自らが事業の継続が危ぶまれるというようなことを公表するというのは、ちょっと変です。これは普通、監査法人から書きなさいと言われて注記として記載することになります。財務諸表の注記なので、「会計基準」のはずですが「監査基準」に規定されているという風変わりなものです。
東芝の場合は、債務超過になったことと、財務制限事項に抵触したことなどがその理由になっています。なお、この注記はこの期末から記載されたのではなく、監査法人が「結論不表明」とした第3四半期から記載されています。そのためか、あまり話題になっていません。普通は、大企業の場合、この注記がついただけで、新聞記事になります。
2. ウェスチングハウスの破綻
ウェスチングハウスとその関係会社が、2017年3月29日に米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続を申し立てたので、東芝の連結から除外されたことが記載されています。これにより、ウェスチングハウスとその関係会社は、非継続事業として区分表示されていることが注意喚起されています。(前期の連結財務諸表も非継続事業に組み替えられています。)
3. 後発事象(担保差し入れ)
決算日以降に、銀行借り入れに対して、不動産と所有株式を担保に差し入れたことが記載されています。
. 4. 後発事象(子会社の上場)
売却交渉か上場か、どちらにするかということで報道されていたことはご存知の方も多いと思います。スマートメーターのランディス・ギア・グループをスイスで上場させたので、その時に同社の株式を売却したことが記載されています。これも、上記3.の担保差し入れと同じように、期末以降に起こった事項で、次期の財務諸表に重要な影響を与える事項が、後発事象として財務諸表注記されているので、それ注意喚起するのが目的です。
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