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2015年8月3日月曜日

100%子会社の監査役には親会社の内部監査人を使え

親会社による子会社ガバナンスの観点からは、子会社に外部株主がいない100%子会社(完全子会社)には社外監査役によるガバナンス体制は本来不要である。

このような子会社に不祥事でも起これば、親会社の責任が問われるため、親会社の内部監査と一体的な監査を実施すべきである。要するに、完全子会社は、親会社の一部門と同じなので、取締役会や監査役(会)は不要と考えるのが正しい。

日本にある外資系の会社を見ればわかる。最近、合同会社にしているところが多いのことをお気づきだろうか。合同会社では、株主のことを社員と呼び社員が経営者である。社員が合議制で意思決定する。代表取締役に相当する人は代表社員。海外の親会社1名が社員(株主)ということになる。会社が社員の場合は、会社から代表者を社員として出せばよい。

このように完全子会社にガバナンスが不要ということがわかれば、完全子会社は、株式会社ではなく合同会社にするという手がある。しかし、子会社が事業を行うに当たり、合同会社では見栄えば悪いなどの理由(本来は外資系のように割り切りが必要)で、そうなっていない場合にはどうすれば良いか?

監査役には親会社の内部監査人を当てる。これにより親会社の内部監査と一体的な内部監査(監査役監査)が実施できる。このようにしている会社は徐々に増えてきたが、まだまだ監査役は、監査のことが分からない子会社や親会社の社員・役員のポジションとして与えるケースが多い。

ここで、完全子会社が会社法上の大会社の場合は少し厄介である。大会社とは、資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社。会社法上の大会社でかつ公開会社(株式の譲渡制限がない会社)は、監査役会を設置し、社外監査役を監査役の半数以上設置する必要がある。

すなわち、この場合、完全子会社に社外監査役を設置する必要が出てくるのである。改正後の会社法では「現役」の親会社の社員・役員は、「社外」でなくなった。幸い、退職後の親会社の社員・役員は「社外」の要件をクリアする。(当該子会社の社員・役員のOB,OGは社内)

これをうまく利用して、完全子会社(大会社)の社外監査役には親会社のOB,OGを当てよう。監査が分かる人で、親会社の内部監査と一体的に動ける人がよいので、親会社の内部監査のOBがベスト、親会社の監査役OBでもよい。

完全子会社が大会社であっても非公開会社(株式の譲渡制限のある会社、閉鎖会社ともいう)であれば、監査役会の設置が不要で、社外監査役も不要となる。そもそも完全子会社は、株式の譲渡制限がある方が普通かもしれない。この手を使えば社外監査役の設置は不要になる。(弊ブログの読者の方から、最近この手を使って完全子会社の社外監査役を廃止している会社が増えてきた、と教えていただいた)




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