日本取締役協会は、下記の要望をした。
日本取締役協会、利益連動報酬へ税制改正を要望
上場企業の経営者などが加入する日本取締役協会(宮内義彦会長)は17日、企業が経営者への株式報酬や利益連動報酬の制度を導入しやすくなるよう政府に税制改正などを求める要望書を公表した。役員の働きに報いる報酬制度が普及すれば「株価上昇を通じて日本経済の再興の一助になる」としている。
2015年度中に株式報酬と利益連動給与に関する税制を改正するよう要望した。(日経2015/8/18)
具体的には、次の4点になる。
要望1:制限付株式(譲渡制限のついた株式の付与)やパフォーマンスシェア(事前に定めた業績目標を達成した場合に株式を付与)などの長期インセンティブ報酬を活用するための制度整備を進めるべきである。==>ストックオプションではなく、現物株式を使ったインセンティブを活用できる制度を作れということ。
要望2:業績連動報酬の法人税法城お損金算入の改正==>これについては、下記のような記事がすでに出ている。役員賞与と区別がつきにくくなるので、役員賞与も損金算入できるようになるか?
政府は企業の役員報酬への税制優遇を広げる検討に入った。法人税の負担を軽くできるのは固定給や利益に連動した報酬に限られているが、自己資本利益率(ROE)などに連動した報酬も対象とする方向。役員の働きに報いる報酬の選択肢を広げ、利益や資本効率の向上を後押しする。日本企業が株主を重視した経営にかじを切る中、税制も転換する。(日経2015年8月7日)
要望3:事業報告(会社法)、有価証券報告書(金商法)、コーポレートガバナンス報告書(東証規則)における報酬情報の統合的開示を促進すべき。==>法務省(会社法)、金融庁(金商法)、東証の協力が必要。監査役会設置の有価証券報告書提出会社(上場会社等)は、社外取締役1名以上置かないときは、置かないことを相当とする理由を事業報告に記載し、株主総会で報告、という規定が会社法に入った。法務省所管の会社法が、金融庁所管の金商法を参照するとは思わなかったが、それができたので、この要望のように今後、役員報酬の開示内容を統一することも役所の協力次第でできるはず。
要望4:報酬ガバナンスの進展を図るべく、1報酬方針の策定・開示の義務づけ、2報酬決定プロセスの整備・開示の義務づけ、3経営トップ等の報酬の個別開示の義務づけ、4報酬の種類別開示の改善を図ると同時に、5いわゆるセイオンペイ(株主総会での役員報酬の勧告決議、決議に強制力はない)の導入を検討すべき。==>これについては、経団連の反対があるでしょう。日本では高額の役員報酬は稀なので、ここまでは必要ないと言われる可能性大。ただ、要望1、2は役員報酬の増額を前提としているので、その歯止めとしてこうゆうことも必要と思われる。
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