金融に関する国際機関には、下図のようにバーゼル銀行監督委員会、保険監督社国際機構(IAIS)、金融安定理事会(FSB)(以上スイス)、証券監督社国際機構(IOSCO)(スペイン)、国際通貨機構(IMF)、世界銀行(以上米国)があります。
日本には例えば国連大学が1975年から渋谷区の青山学院の向かいにありますが、アジアは欧米からの距離があるので、いくらGDP世界3位の日本でも、国際機関を置くのは、欧米各国の了解を得るのが難しいと思います。
このたび、設置されることになったのは、監査監督機関国際フォーラムという機関で、監査監督当局の国際機関です。
金融といっても監査法人を監督する国際機関ということになります。日本では、金融庁がそのメンバーになります。金融庁の下部機関の「公認会計士・監査審査会」(CPAAOB)が具体的な事務を行っています。
国際会計基準(IFRS)は、米国と日本が採用していません(任意採用は可能)が、実は監査の基準は、すでに国際的に統一されているのです。
証券監督機関や証券取引所の国際団体であるIOSCO(スペインに本部)が、証券市場における投資家保護の見地から、監査基準の国際的な統一の推進に力を入れました。
日本においても、監査の基準は、国際監査基準(ISA, International Standards on Auditing)に準拠させるようにしました。金融庁の企業会計審議会が策定する監査基準は、大雑把なことしか書かれていませんので、日本公認会計士協会が策定する監査基準委員会報告が順次改訂され、その改訂は終了しています。これは明瞭化(クラリティ)プロジェックトと呼ばれています。
SECが求める監査が一番厳格であると言われていますが、基本的な監査基準は国際的に統一されてはいますが、国によっては厳格度は異なります。ついでに言うと、内部統制監査は、国際監査基準では対象にしていません。米国、日本、中国でしか導入されていない制度だからです。
米国の場合、エンロン事件の後にSECの下部機関として設置された公開会社会計監委員会(PCAOB)が、この監査の国際機関のメンバーになるのだと思います。PCAOBは、日本の監査法人の検査を行うために日本に来ています(日本の金融庁から見たら越権行為と言えます)。これはトヨタやソニーなどの日本企業が米国に上場しているからです。
東京に初の金融国際機関 監査法人の監督当局、アジア各国加盟に役割期待
- 2016/4/23付
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