「会社のことを知らない社外取締役は経営に役立つのか。」「社外取締役を導入して企業価値が上がった証拠はあるのか。」と言うような質問をよく耳にします。
今日、霞が関の弁護士会館でコーポレート・ガバナンスについてのパネルディスカッションがありましたので行ってきました。モデレーターの中西弁護士が上記のような質問をされていました。パネリストの方々は、例えば、後継者問題について発言できるのは社外取締役だけだとか、企業買収案件で歯留めを掛けたなど、その質問に正面から真面目に答えておられました。
ここで筆者が何を考えたかと言うと、そもそも社外取締役が経営に役立つかと言うのは、愚問ではないかということです。この質問は、経営者目線であることを気づくべきです。
経営者から見て、社外取締役が経営に役立つのかを考えると、コンプライアンスからの役割とか、会計・法務の専門家としてのアドバイザー、経営全体のアドバイザーとしての役割ということになるでしょう。この点は、最初に挨拶された弁護士さんも言われていました。
しかし、取締役会の仕事はモニタリングで、マネジメントではないということであるとすると、経営者が経営に役立っているか監視するのが、取締役会の仕事です。経営者から取締役会の重要なメンバーである社外取締役が役立つのか、と言うのは本末転倒ということになります。
日本では、社外取締役に対する考え方がこの10年で180度変わった、と山口弁護士が言われていました。確かに社外取締役を形だけ入れておこうから、その存在を尊重し少しでも役に立ってもらおう、という姿勢に変わったということは言えると思います。
しかし、未だに「会社のことを知らない社外取締役がどんな役に立つのか」を議論しているのでは、日本の取締役会はマダマダだなあ、と思いました。
これは取締役会がモニタリングボードであることが理解されていないことを示しています。上場会社でも監査役設置会社が多いので、従来通りのマネジメントボードに社外取締役を追加した会社が多いのは、ある程度仕方がないことだと思います。
しかし、指名委員会等設置会社で、取締役会の過半数が社外取締役の会社でも、取締役会の意識が監査役設置会社のままのようなお話だったのは、残念でした。
コーポレート・ガバナンスコードの記述が、監査役設置会社をも含めた記述になっていますので、はっきりとモニタリングボードにするべき、となっていないのが今後の課題なのかもしれません。
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