1 マイニングは取引承認のこと
「仮想通貨を理解する(3)ー仮想通貨を受け取る方法」でお話した、3つ目の受け取り方法がマイニングでした。仮想通貨の取引承認をすると報酬が得られます。この取引承認のことがマイニング(採掘)と呼ばれています。
これだけ聞くと、まったく意味がわかりません。「仮想通貨の取引を承認する」ということは、仮想通貨を売買するうえで大事な事のように思えます。それに対する報酬が支払われることありうることです。
それが「マイニング」ですと言われた瞬間に、思考がストップします。マイニングというのは、金鉱を掘り当てるようなことを指す言葉ですので、仮想通貨を掘り当てる=マイニング、であれば理解できますが、「取引承認すること」と「掘り当てること」が普通は繋がりません。
前回ご紹介したサトシ・ナカモト氏の論文ではどうなっているのか、調べてみました。
The steady addition of a constant of amount of new coins is analogous to gold miners expending resources to add gold to circulation.(P.4)
上記の文章は、"6. Incentive"に記載されています。仮想通貨の場合は、通貨を発行する中央政府がありませんので、どのように通貨量を増加させるのかというのが課題になります。
円やドルなどのリアルな通貨と交換することで通貨量を増加させるということも考えられます。その場合は、仮想通貨に人気が高まり、リアル通貨から仮想通貨に両替する金額が増えると、仮想通貨の流通量が増加し、仮想通貨の価値が急激に下がります(インフレになる)。
通貨供給量は、リアル通貨との両替の時点で増えるとこのような問題になりますので、ビットコインでは、仮想通貨の取引を承認したらその報酬として仮想通貨を支払うことで、通貨供給量を増加させるという方法を採用したのです。
ビットコインを考えたナカモト氏は、その論文でビットコインの供給量の増加は、「金鉱山から金を採掘したら金の供給量が増える」ことに例えたのです。金の場合、その採掘に汗を流した報酬として採掘した金が自分のものになるので、ビットコインも何等かの労働の報酬して、その供給量を増加させればよいのではないか、というのがこの論文の主旨と考えられます。その労働が「仮想通貨取引の承認という作業」なのです。
2 マイニングは大変な作業
企業が社内システムに利用している「電子決裁システム」では、取引承認は画面上のボタンを押すだけです。そんな簡単なことがマイニング(取引承認)だったら誰でも簡単にできます。
しかし、このマイニング(取引承認)は、専用のコンピュータで複雑な計算処理をすることを意味します。その仕組みの説明は、ブロックチェーンの説明とセットでないとできませんので、今後に譲ることにします。
いずれにしても、マイニングにはすごいコンピュータ処理が必要になりますので、時間が掛かります。人件費はかかりませんが、コンピュータ処理に時間がかかるということは、電気代がかかるということです。そのため、電気代の安い国でマイニングをするのが有利であるとされています。年間を通じて「コンピュータをぶん回し」することがマイニングという作業になります。
3 マイニング専用コンピュータが必要
マイニング専用のコンピュータというのが販売されています。中国製が9割の世界シェアを持っているそうです。その中でダントツに大きなメーカーがビットメインという会社です。「アントマイナーS9」という専用コンピュータを販売しています。
Antminerは、アマゾンでもヤフオクでも買うことができます。中古だと5万円ぐらいからあり、高いのは85万円ぐらいです。消費電力は1200Wから1600Wで、本体が非常に熱くなるので、空調が必須なようです。値段的には買えそうですが、家庭でマイニングを行うのは無理なようです。しかし、このコンピュータをインターネットに繋いで年中動かしておけば、ビットコインが手に入るのであれば、誰でもやりたくなります。
4 中国にある採掘工場
中国には、アントプールとBTC.comという大きな採掘工場(mining pool)があり、その2社で世界の3割のシェアを占めているそうです。ここでは、何百台の専用コンピュータを年中動かし続けているものと考えられます。当然ながら、地球温暖化防止には逆行します。
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