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2018年8月11日土曜日

仮想通貨ノアコインが東証上場するのか


1 ビート・ホールディングスとはどんな会社か
仮想通貨の一種であるノアコインを運営する会社が、東証2部上場のビート・ホールディングス・リミテッドに対して買収提案をしているという報道がありました(日経201889日)。

買収提案をしたのは、香港を拠点とするノア・アーク・テクノロジーズ。買収提案を受けたビート社は、昔「新華ファイナンス」という社名でした。この会社は、中国系企業初の東証上場ということで有名になりました。
2004年にマザーズに上場後、2005年にはADR(米国預託証券)を発行し、米国の証券取引委員会にForm 10K(有報相当の財務書類)を提出していました。要するに、米国で資金調達したことから、米国証券取引委員会の監督下にもあったということです。
200912月期には債務超過に陥りましたが、翌年にはそれを解消し上場廃止は免れています。そのあと2011年に、米国において経営陣がインサイダー取引で起訴されています。もともとは香港の会社でしたが、今はケイマン諸島に本店を移しています。
経済誌のFACTAは、この会社について「オリンパスより悪質」、「こんな企業がなぜいまだに上場を許されているのか、理解に苦しむ」としています。
 201712月期の有報を見ると、継続企業の前提注記がついています。要するに資金繰りが不確実ということになります。
 このような状況の会社に対して、冒頭のノア社が買収を掛けてきたということです。日経の記事によると「時価総額は100億円」に満たないということです。
 
2 買収提案したノア社とは
香港拠点の仮想通貨会社ノア・アーク・テクノロジーズは、ノアコインという仮想通貨を運営する会社のようです。恐らく、ビート社を買収して東証上場会社が仮想通貨のICOを実施することのより、ノアコインを信用される仮想通貨にして、ノアコインの価格を上げようということが狙いではないかと思われます。

3 ノアコインとは
 ノアコインは、ノア・ファウンデーションが発行する仮想通貨です。ノアコインはICOによって発行されたトークンと考えられます。ICOの前にプレセールが1期と2期の2回あり、20183月にICOを行い、312日には、イギリスの仮想通貨取引所HitBTCでの取引が開始されています。
ICOというのは、企業(企業がない時もあるらしい)が資金調達をするときに、既存のビットコインなどの仮想通貨を払い込んでもらい、それに対してトークンを発行します。この点は、現金を振り込んだら株式が発行されるのと似ています。
ノアコインの場合は、株式に相当するトークンですが、それ自身が仮想通貨であり、仮想通貨取引所で売買されているということになります。金融庁は、外国の仮想通貨取引所が日本人に対して仮想通貨の売買をしたら、日本の資金決済法に違反するとしています(ただし、外国企業を罰する手段はないのかもしれません)。

4 ICOによる資金使途
ICOを行った企業はどんな事業をするのでしょうか。ノアコインの発行主体であるノア・ファウンデーションは、フィリピンに不動産開発をするとしています。そこでノアコインが使えるノアシティを建設するというのです。これがフィリピンの貧困問題の解決になるとしていますが、ちょっと理解できません。
これはノア・プロジェクトと呼ばれていますが、当初はフィリピン政府公認プロジェクトであると宣伝していましたが、フィリピン政府はそれを否定しています。また、ノアシティーの建設場所が、当初発表とは別の場所に変わったりしています。
このノアコインの販売のために、自称「キングオブコイン」の泉忠司という男が「億万長者プロジェクト」と称するユーチューブを掲載しています。この男はノアコインの販促に関わっているだけで、ノア・ファウンデーションの経営者ではないようです。

5 ノアコインの相場
プレセールかまたはICOでノアコインを購入すると、初年度20%の利息が付くが仕組みになっているようです。どの通貨を誰が持っているかを特定できないと利息の支払いができないのではないかと思いますが、特殊な手法で一人目の所有者にだけ利息分だけ増額するような仕組みになっているのかもしれません。利率は毎年減っていきますが40年後でも0.06%とされています。
 ICO時の価格は0.8円前後でした。20183月の上場時は1ノアコイン=3円に高騰しましたが、2018811日現在は0.08円となっています。ICOで購入したまま持っていたら、10分の1の価格になったということになります。
 仮想通貨の相場は乱高下しますので、10分の1になったらからお仕舞ということではないと思います。ビート社の買収が決まれば、急騰する可能性があります。ノア社はそのタイミングで、次のICOをする算段なのではないでしょうか。(ICOは、Initial Coin  Offeringで、「最初の」=initialなのですが、IPOと違って何度でも実施できます)

7 まとめ
 このように非常に怪しいノアコインを取り扱うノア社が東証上場会社になろうとしているということです。日経によれば、『東証は「買収自体を止める手立てはない」と静観の構えだが、ノア社の仮想通貨の構想に内心穏やかではない。』とのことです。
 そもそも上場していることが理解に苦しむ会社(FACTA)が、さらに怪しい会社になってしまうのでしょうか。

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