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2018年8月21日火曜日

米国で四半期報告廃止検討


 米国は、四半期報告(Quarterly Reporting)発祥の地なのですが、投資家の短期志向(ショートタ-ミズム)を助長することから、トランプ大統領がこれを廃止することを検討するように指示したとのことです。
 日経新聞によれば、下記のようにヨーロッパでは四半期報告を廃止する方向に動いているということは知りませんでした。
 これを見ると、日本でもそろそろ検討を始めてもよいと思います。四半期報告制度の導入当初には、1年間の業績に季節変動がある会社については、四半期報告はそもそも向かないから導入に反対するという意見があったと思います。


拙著の「東芝事件総決算」では、第3四半期になったら、東芝では何か起ることが多かったと書きました。例えば、ウェスチングハウス関連の巨額減損が発覚したのは、2016年12月でした。この結果、2017年2月中旬の第3四半期報告書の提出が延期され、4月になってからの提出になりました。

4月というと、ウェスチングハウスが3月に破綻した後になります。このように、本来適時開示が趣旨の四半期報告書の提出が遅れると、おかしなことになることは確かです。


 といっても、この東芝の場合、第3四半期報告書の提出の必要がない場合にはどうなるでしょうか。東芝は、数千億円の巨額減損があることを2016年12月に発表したでしょうか。第3四半期報告書を提出する必要があるため、このタイミングで巨額減損の可能性を発表せざるを得なかったのではないでしょうか。
 もし、第3四半期報告がないのであれば、恐らく期末の2017年3月期の見込みの発表時の、たとえば、3月ぐらいにウェスチングハウスの破綻と同時に発表することになり、そもそも減損ではなく、破綻処理として発表することになったのではないかと思います。

 ということから考えて、企業に取っては負担になることは確かですが、四半期報告は、3か月置きに適時開示を求めることにより、「企業にタイムリーな情報開示を迫る」という点で、利点があります。

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