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2018年11月23日金曜日

日産自動車のコーポレート・ガバナンス体制


日産自動車のコーポレート・ガバナンス体制について、特に監査の面から分析してみたいと思います。

1 取締役・監査役に監査・法律の専門家がいない

日産自動車の取締役と監査役は次のとおりであり、監査・会計・法律の専門家が一人もいません。これは監査を軽視していたことの表れかもしれません。

・社外取締役は社外取締役2名(現役レーサー、元通産省)ルノー出身者2名、日産出身者4名、ゴーン氏の9
・監査役は、社内1名(元生産技術本部)、社外3名(全員銀行出身)

元CFOが監査役になるというのも、東芝やオリンパスで問題になったのですが、日産の場合、監査役がこのメンバーでは、おそらく会計監査人の言うことの意味が分からないと思われます。米国では上場会社の監査委員には、最低1名は財務専門家を入れることが要求されています。


2 取締役会の時間が短い

日経新聞によれば、「ゴーン元会長が議長をしていた際の取締役会は毎回、1時間を超えることがなかったという。(日経1123日)」としています。これでは、取締役会においてコーポレート・ガバナンスに関する議論が十分できず、社外取締役や社外監査役による業務執行役員に対する監視が十分実施されていたとは言えないと思います。


3 内部監査部門の人員数が少ない

日産自動車の20183月期の有価証券報告書によれば、「内部監査部署として、独立した組織であるグローバル内部監査機能(当社14名、グローバルで約90)を設置している。各地域では統括会社に設置された内部監査部署が担当しており、具体的な監査活動をChief Internal Audit Officerが統括することにより、グループ・グローバルに有効かつ効率的な内部監査を行っている。」と記載されています。

トヨタ自動車は、内部監査部門の要員数を有価証券報告書に開示していませんが、本田技研工業は「取締役社長直轄の独立した内部監査部門である業務監査部は45名で構成され、当社各部門の内部監査を行うほか、主要な子会社に設置された内部監査部門を監視・指導するとともに、適宜、子会社の直接監査を実施するなどして、グループとしての内部監査体制の充実に努めています。」と記載しています。

この記載のとおり、本田は国内で45名、それに対して規模の大きい日産が14名になっています。日産はグローバルで90名としていますが、残念ながら本田はグローバルでの人数は記載されていません。オムロンは22名、東芝は45名としています。(参考のため、ソニーとパナソニックを見ましたが、内部監査の人数は不開示でした。)

このように他のグローバル企業と比較すると、日産の親会社における内部監査部門の要員数は少ないと言えます。日産はグローバルで70名(日本以外では56名)としていますが、全世界で14万人近い従業員がいるなか、内部監査要員は非常に少ないと言えます。一方で、他社事例では内部監査の人数を開示していない企業が多いのが実情のようです。この点、日産は開示の点では優れているとも言えます。


4 今後のコーポレート・ガバナンス体制

日産自動車は現在、監査役設置会社ですが、この事件が一段落した後は、指名委員会設置会社に移行し、(東芝と同様に)内部監査部門は監査委員会直轄にするのが良いと思います。

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