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2014年10月8日水曜日

議題の整理(追加・削除)がモニタリングボードの前提

取締役会には、モニタリングモデルとマネジメントモデルがある。日本の取締役会はモニタリングボードに移行すべきであるという議論がある。それを促すために新設されたのが監査等委員会設置会社。

簡単に言うと、「意思決定」(重要な業務執行の決定)ではなく、「監督」を目的とした取締役会がモニタリングモデル。このためには独立取締役(社外取締役+追加的独立要件に合致した者)が大きくものを言う。

ただ、日本の会社法上、取締役会の決議事項のうち一部を業務執行者に権限移譲できるのは、指名委員会設置会社と監査等委員会設置会社である。監査役設置会社にはこれが認められない。

ただし、これは「委員会設置会社の業務執行の決定を執行役に委任することができる」となっており、原則は監査役設置会社と同じだが、取締役会で決議したら「できる」規定となっている。

独立取締役が活躍して、取締役会をモニタリングボードにするためには、この取締役会の決議事項を見直すことが必要となる。

業務執行に係る事項ばかり取締役会で議論するのは、マネジメントボード。それに独立取締役は必要ない。また、そのような取締役会に独立取締役を入れたら、モニタリングボードになるということはない。

上場会社には、実質上、監査役設置会社にも社外取締役を入れざるを得なくなった。しかし、独立取締役が1名以上いたら、その取締役会はモニタリングボードになるかといえば、そうではない。

付議事項を見直し、ガバナンスの方針決定や取締役会の自己評価、中期計画の達成状況の議論などこれまで取締役会で議論していなかった議案を加え、できる限り業務意思決定事項を減らすという、議題の整理を前提とすれば、モニタリングボードになりうる。

一方、指名委員会等設置会社と監査等委員会設置会社は、複数以上の社外取締役が法定されているが、自動的にモニタリングボードになるのではない。「できる」規定になっている議題の削減をし、モニタリングに係る議題を加えることが、モニタリングボードになる前提となる。

議題の整理と共に重要な点は、独立取締役の意見をしっかり聞き、その意見を尊重する姿勢が議長にあることである。議事運営する議長の姿勢が悪いと独立取締役が生かせない。

要約:監査役設置会社の取締役会がモニタリングボードになる条件は次の通り。
1.議題の整理をする(ガバナンス方針の決定含む)
2.独立取締役を複数入れる(社外要件だけでは不十分、1名でも不十分)
3.独立取締役の意見を尊重するような議事運営
4.ガバナンス方針に従った取締役会の運営ができたか自己評価

取締役会の自己評価については、別稿を参照されたい。取締役会のPDCAのCが自己評価。

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