日本の基準はどうなっているかというと、企業会計原則では、収益認識基準についての記述が以下の通りである。これ以外には、工事契約に関する会計基準(企業会計基準第15号)があるが、IFRS15号は、実は87ページあり結構詳細。IFRSは「原則主義」(principle base)のはず。結局、日本基準の方が収益認識については、原則主義的な会計基準になっている。
ちなみに、アビームさんのウェブサイトの解説は次の通り。
「原則主義」は、会計基準の設定にあたり企業が会計処理の方法を判断するときの考え方や枠組みだけを示す方法です。IFRSでは、原則や枠組みと、最小限のガイダンスだけが示されており、「原則主義」に基づく会計基準であるといわれています。(中略)
これに対して、日本基準や米国基準は、「規則主義」に基づく会計基準であるといわれています。「規則主義」では、どの様な会計処理を行うべきかを、会計原則以外に詳細なガイダンスで、具体例を含めて細かく定めています。また、例外規定の適用の可否を判断するための数値基準等があらかじめ示されています。<筆者注:日本語では規則主義ではなく「細則主義」というのが普通>
細則主義の米国基準と原則主義のIFRSを同じにするために、IFRSが原則主義を捨てたのかもしれない。または原則主義で押し通すのは、無理があるということかもしれない。
いずれにしても、日本基準だけ取り残された。
<企業会計原則>
売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。ただし、長期の未完
成請負工事等については、合理的に収益を見積り、これを当期の損益計算に計上することができる(注6)(注7)
〔注6〕実現主義の適用について(損益計算書原則三のB)
委託販売、試用販売、予約販売、割賦販売等特殊な販売契約による売上収益の実現の基準は、次によるものとする。
(1) 委 託 販 売
委託販売については、受託者が委託品を販売した日をもって売上収益の実現の日とする。従って、決算手続中に仕切
精算書(売上計算書)が到達すること等により決算日までに販売された事実が明らかとなったものについては、これを当
期の売上収益に計上しなければならない。ただし、仕切精算書が販売のつど送付されている場合には、当該仕切精算書
が到達した日をもって売上収益の実現の日とみなすことができる。
(2) 試 用 販 売
試用販売については、取引先が買取りの意思を表示することによって売上が実現するのであるから、それまでは、当
期の売上高に計上してはならない。
(3) 予 約 販 売
予約販売については、予約金受取額のうち、決算日までに商品の引渡し又は役務の給付が完了した分だけを当期の売
上高に計上し、残額は貸借対照表の負債の部に記載して次期以降に繰延べなければならない。
(4) 割 賦 販 売
割賦販売については、商品等を引渡した日をもって売上収益の実現の日とする。
しかし、割賦販売は通常の販売と異なり、その代金回収の期間が長期にわたり、かつ、分割払であることから代金回
収上の危険率が高いので、貸倒引当金及び代金回収費、アフター・サービス費等の引当金の計上について特別の配慮を
要するが、その算定に当っては、不確実性と煩雑さとを伴う場合が多い。従って、収益の認識を慎重に行うため販売基
準に代えて、割賦金の回収期限の到来の日又は入金の日をもって売上収益実現の日とすることも認められる。
〔注7〕工事収益について(損益計算書原則三のBただし書)
長期の請負工事に関する収益の計上については、工事進行基準又は工事完成基準のいずれかを選択適用することができる。
(1) 工事進行基準
決算期末に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率によって工事収益の一部を当期の損益計算に計上する。
(2) 工事完成基準
工事が完成し、その引渡しが完了した日に工事収益を計上する。
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