日経新聞2016/9/4付けの「アップル追徴 衝撃の一手」(Financial Times翻訳記事)で、いろいろ分かりました。
まず、「アップルの追徴課税を巡る議論は、恐らくEU司法裁判所に持ち込まれるが、法廷で彼女の論理が支持されるとは考えにくい。」と書かれていることから、追徴税が実現する可能性は低いようです。
また、私の9月1日付のブログでは、米国で外国税額控除によって、法人税が還付されると書きましたが、アップルは未払法人税を計上していますが、まだ支払っていないようです。米国としては、将来納付されるであろう税金が減ることを問題視しているということになります。(これは、9月27日付の日経で「米国に還流したら課税」と書かれていますので、確かなようです。米国企業の未還流の海外留保資金が2兆ドルあるそうです。2016/9/27更新)
これは、アイルランドの税制上、アップルがアイルランド在住とも米国在住ともみなされない取り扱いになることが米国での納税を繰り延べることができるというのが理由のようです。9月1日のブログに書いたように米国では世界所得に課税されるので、アイルランドで課税所得が発生すれば、米国でも課税所得になります。おそらく、そのどちらにもならないのが今の状態なのでしょう。
「だが、アイルランドのこの税制には「ひねり」が加わっていた。税務上、アイルランド在住とも、米国在住ともみなされない企業を設立する権利も与えていたのだ。これによりアップルは税金をすぐには納めず、米税法の下、納税を繰り延べしてきた。」
「アップルのアイルランドを活用した節税の仕組みが初めて明らかになったのは、3年前に米議会上院がクック氏を課税逃れ問題で追及したのがきっかけだ。」となっており、米国議会がこの事実を暴露しなければ、EUにもバレなかったかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿