「c 開示すべき重要な不備があり、財務報告に係る内部統制は有効でない旨並びにその開示すべき重要な不備の内容及びそれが事業年度の末日までに是正されなかった理由」
2015年3月期については、不適切な会計処理が顕在化した後に「内部統制が有効でない」という報告書を出している。今回、新聞情報では、2009年3月期から2014年3月期までの財務諸表を訂正している。2014年3月期以前に提出済みの内部統制報告書では、「内部統制は有効」としていることから、内部統制報告書も「有効でない」に訂正された。
財務諸表の過年度訂正が行われると、内部統制報告書も「有効」から「有効でない」に訂正されるのが通例となっている。内部統制報告制度は、一種のリスク情報提供のための制度であるから、本来、財務諸表の訂正が事前予知できないと意味がない。
地震が起こった後、「あの時、地震予知すべきでした」というのと同じである。今頃言われても手遅れである。
東芝の内部統制報告書(平成27年3月期)
3【評価結果に関する事項】
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすことになり、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、2015年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。
記
当社が過去に行った工事進行基準案件に係る会計処理について、2015年4月3日に特別調査委員会を設置して事実関係の調査を行いました。その結果を受けて、同年5月15日に当社と利害関係を有しない中立・公正な外部専門家から構成される第三者委員会に委嘱し、上記の会計処理に加えて、映像事業における経費計上に係る会計処理、半導体事業における在庫評価に係る会計処理、さらにパソコン事業における部品取引等に係る会計処理について調査を行いました。
これらの調査結果に加え、独自の社内調査も踏まえ、当社において過去数年間にわたって利益の先取りや費用の先送り等不適切な会計処理が継続されていたことが判明いたしました。
また、本件に対する当社の対応として、2010年3月期以降の決算を訂正し、2010年3月期から2014年3月期までの有価証券報告書、及び2011年3月期第1四半期から2015年3月期第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
本件については、当社経営トップらによる目標必達のプレッシャー、上司の意向に逆らうことができない企業風土、経営者における適切な会計処理に向けての意識の欠如などの複合的な要因があいまって、意図的な利益の嵩上げのために各カンパニーにおける内部統制、及び単体決算や連結決算に関する内部統制が無効化され、当社の会計処理基準が適切に運用されていなかったことにより発生したものであります。
このため、取締役会、監査委員会といったガバナンスの観点から監視・監督を行うべき機関における内部統制が有効に機能しておらず、また、コーポレートの財務部、経営監査部並びにリスクマネジメント部等の各部門の内部統制も適切に機能しておらず、内部通報制度も実質的に機能していませんでした。
このような財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、全社的な内部統制、決算・財務報告プロセスに関する内部統制の不備は開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
上記事実の特定は当事業年度末日以降となったため、当該開示すべき重要な不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、適正に修正しております。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、第三者委員会からの提言を踏まえて、今後の経営体制、ガバナンス体制、再発防止策等を着実に実施していくために経営刷新委員会を設置いたしました。この委員会を中心に上記不備を是正し、新体制のもとで再発防止策を講じ、適切な内部統制を整備・運用してまいります。
財務報告に係る内部統制の重要な不備を是正するための措置を以下のように考えております。
1.ガバナンス改革
(1)取締役会の構成・機能強化
(2)監査委員会の監査機能の強化
(3)指名委員会の強化・指名手続の透明性確保
(4)中長期的な観点からの報酬設計の検討
2.企業風土改革
(1)予算統制見直し
(2)意識改革・コンプライアンス強化
(3)会計コンプライアンス教育の実施
3.内部統制機能強化
(1)財務部門の組織改革
(2)内部通報制度改革
(3)業務プロセス改革
上記是正措置の一部として、取締役会の人員構成の見直し等の対応策については既に実行に着手しております。
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