決算を発表は、兜(かぶと)クラブ(東証の記者クラブ)の会見室で行うことが多い。筆者は、ここがあまり使われないタイミングの1月中旬に、毎年リスクマネジメント調査の記者会見をしていた。(この時期は記事ネタが不足がちのため、記事にしてもらいやすい)
以前は、東証の建物の3階か5階ぐらいの上の階にあったが、4−5年前に地下になったように記憶している。記者クラブの部屋に入ると各社ごとの棚が並んでおり、そこにプレスリリースを投げ入れるようになっている。これを「投げ込み」というらしい。
投げ込みの場合は説明なしであるが、記者会見をする場合は、事前に記者クラブに予告し、横に3つか4つある部屋を予約しておく。時間になったら、記者クラブの部屋に聞こえるスピーカーで「今からやります」と放送すると、ぞろぞろと記者が会場の部屋にやってくる。
上の階にあった頃は、会場を取り仕切る怖そうな中年女性(勝手なことをすると怒られた)がいたが、地下に移動してからはいなくなった。ちなみに、金融機関は東証ではなく、日銀で記者会見をするそうである。テレビを気をつけて見たら分かるが、金融機関の会見は後ろがごちゃごちゃした普通のオフィスのように見える。
ところで、このように決算発表を各社がするのであるが、これは証券市場の後場が終わる3時に行うことが多い。その日の株価に影響を与えないようにするためと考えられる。何れにしても翌日には株価に影響するが、一旦頭を冷やす時間があるのがミソかもしれない。といっても、海外市場は東証の後に開くので、今となっては、3時の発表にどれだけの意味があるかわからない。
さて、本題。下記の3社は、ウェブサイトで決算の開示をするタイミングが早すぎた例である。調べた限りでは、今年は2件、3年前に1件起こっている。ウェブサイトでの開示でタイミングが問われるのは、決算だけではない。特定の担当者まかせで、手作業で行うというのは危険。
要領としては、プログラムのテスト環境から本番環境への移行や、本番環境でシステムを動かすときの運用管理システムへのプログラム登録と同じようすればよい。
「事前に開示するファイルと開示時間をシステムに登録」→「それを別の人(上司)が内容チェック」→「時間がきたら自動的にウェブサイトに開示」、である。調べたことはないが、多分こうゆうシステムが販売されていると思う。もしかしたら、富士通製もあるかもしれない。すくなくとも富士通や新日鉄住金ソリューションなら自社で作れることは間違いない。
担当者任せはやめた方が良い。
富士通
午後3時に発表予定だった決算情報が午前10時24分から11時03分までの間、ホームページで公開されていたことを明らかにした。社内の指摘を受け、情報を削除。東証に報告後に発表時間を繰り上げ、午後0時半に開示した。(ロイター2015年7月31日)
新日鉄住金ソリューションズ
2015年7月28日、開示時刻より30分早くホームページに決算資料をアップするミスが発生した。(ロイター2015年7月31日)
ホンダ
2012
年10月29日、同日発表の決算関連資料を予定より4時間半早くホームページに掲載する人為ミスがあったと明らかにした。広報部の担当者が誤って掲載する操作を実行してしまい、20分間にわたって外部から自由に閲覧できる状態が続いた。決算情報は株価に大きな影響を与える可能性があり、情報管理のあり方が問われそうだ。(日経2012年10月29日)
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