TSRとは、Total Shareholder Return=(株価の上昇額+配当額)/当初株価、である。業績連動報酬には、当期純利益などの財務指標と、株価などの市場指標がある。TSRは市場指標の代表格と言える。
当期純利益は、基本的には取締役がコントロールできる点で優れた指標と考えられる。しかし、株主視点に立った場合には、株価と配当額が直接的な関心事となる。当期純利益が増えれば、それが株価と配当額に反映する可能性は高まるが、株主から見ると当期純利益は間接的な指標に過ぎない。
TSRは、こうゆう意味で優れた指標と言える。ただし、株価は政治的要因や経済全体の動向などに左右される。景気拡大期 においては、取締役の努力とは関係なく株価が上がり、企業業績も上がることもありうる。景気後退期はその逆となる。
TSRから、このような要因による変動をできる限り排除するためには、5年程度の長期間を対象とするとともに、同業他社との比較が欠かせない。長期のTSRが同業他社を上回っているかに基づいて、業績連動報酬を決定する。
TSRをこのように使う事により、取締役の活動成果を適切に反映した指標となる。利益、株価、配当額は、絶対的な指標であるが、これは相対的な業績測定指標と言える。
米国の大手上場企業の多くでは、このような同業他社とTSRを比較する手法が使われているらしい。
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