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2018年12月12日水曜日

日産自動車の役員報酬エクスプレイン


コーポレートガバナンス・コードの補充原則4-10①では、指名・報酬などの重要な事項に関する検討に当たり、任意の諮問委員会を設置するなどにより、独立社外取締役による関与・助言を得るべきであるとしています。

日産自動車は、この補充原則に準拠(コンプライ)していないため、次のように説明(エクスプレイン)しています。

指名・報酬等の重要事項への独立社外取締役の関与・助言
各取締役は、取締役会議長の提案をもとに、取締役会の決議を経た選任議案に基づき選任されている。 各取締役の報酬の決定手続きとしては、取締役会議長が、取締役会の決議及び代表取締役との協議に基づき、独立社外取締役の助言、各取締役の報酬について定めた契約、業績、役員報酬のコンサルタントであるタワーズワトソン社による大手の多国籍企業の役員報酬のベンチマーク結果を参考に、決定している。独立社外取締役は、取締役会において、積極的に議論に参加するなど、豊富な経験と高い見識に基づき、役割・責務 を十分に果たしていただいている。これらを踏まえ、現行の仕組みで有効に機能していると考えている。(日産自動車 コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:201875日)

「各取締役の報酬の決定手続きとしては、取締役会議長が、・・・・決定している。」となっています。要するに取締役会議長のゴーン氏が決定するということが記載されています。

「取締役会の決議・・・に基づき」となっていますので、取締役会決議はしていたのですが、報道によれば、取締役会議長に一任するという決議をしていただけのようです。

また、取締役会議長は「代表取締役との協議」もすることになっていますが、逮捕されているケリー氏が代表取締役でしたので、ケリー氏と協議するという意味になります。

「独立社外取締役は、取締役会において、積極的に議論に参加するなど」と記載されています。取締役会において、取締役各人別の報酬額の決定について、積極的に議論したのでしょうか。

通常、報酬委員会のような少人数でないと取締役各人の報酬について「積極的に」議論することができないのではないでしょうか。報酬支払対象者を前にして、その業績連動報酬額について「それでは多すぎる、少なすぎる」などといった議論はできないと思います。

この記載は、「指名・報酬等の重要事項への独立社外取締役の関与・助言」ですので、一般論として「独立社外取締役が積極的に議論に参加」したということではないと思います。

ということは、例えば「一部の取締役の報酬は高額すぎるのではないか」と独立社外取締役の一人が発言したという記録が残っていたら、この記載は一応正しいということになります。

一方、ゴーン氏に役員報酬の決定を一任し、その後は結果報告を受けていただけであれば、「独立社外取締役は、取締役会において、積極的に議論に参加するなど」という記載は誤りということになります。

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