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2015年3月8日日曜日

独立社外取締役は本当に人材不足か?

 「独立社外取締役の人材不足」という話は良く聞くが、実際上は供給能力は十分にある状況と思われる。たとえば、日本取締役協会では、独立取締役データベースに250人の登録をしており、独立取締役の紹介をしている。その他社外取締役を紹介してくれる団体はその他にも数多くある。
 1人が何社もの社外取締役になっているケースがあり、特定の有名人に偏る傾向があるのではないか。依頼する側の企業としては、失敗できないので慎重に選ぼうという意思が働く。このため、安全パイを拾いにいく、という傾向があるように感じる。
 下記の記事にように、経団連加盟企業の元社長であれば一応安心できる人を選べる。一般にサラリーマン社長が多いので、変なことを言わない社外取締役としては問題ないかもしれない。しかし、「ガバナンスを理解している」か「ガバナンスに貢献するよう努力をする気があるか」が大きなポイントとなる。
 本当は、何人か面接してその中からベストな人を選ぶのがよいのであるが、面接をして落とすのは失礼となる。ということは、「日頃から付き合いを広げて良い社外取締役候補を探す努力をする」しかない。独立社外取締役の候補者探しを取締役会事務局に任せず、社長を含む取締役自らが日頃から候補者を探しておくことが必要である。


元社長、他社で貢献を
2015/3/6 3:30 朝刊
 企業統治指針が正式に決まり、今後の焦点は社外取締役の確保と活用に移る。指針の原則に従い、東証1、2部企業が独立性の高い社外取締役を2人以上選ぶには、昨年7月との比較で延べ3000人以上が追加で必要になる。「適切な人がみつからない」と悩む経営者が増えそうだ。
 しかし、指針策定の有識者会議に参加した冨山和彦・経営共創基盤・最高経営責任者は「上場企業の社長経験者を候補と考えれば、日本全体で社外取締役は不足しないはず」と話す。最高財務責任者などの役員経験者も引き合いが強いだろう。
 経団連は今も社外取締役の選任義務化に反対している。ただ榊原定征会長は「義務化しなくても社外取締役は増える」とみる。ならば発想を転換し「社長経験者は積極的に他社の社外取締役として貢献を」と会員企業に呼びかけたらどうか。
 異なる業界出身の経営経験者が取締役会に加われば、生え抜き役員とは異なる視点をもたらすだろう。日本全体でみて経営の知見を共有する効果は大きいはずだ。(編集委員 塩田宏之)

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