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2020年3月18日水曜日

コロナ騒ぎで株価が急落した東芝機械の買収防衛策は承認されるか


コロナ騒ぎで、東芝機械がちょっとおかしなことになってきています。村上さんが3456円で東芝機械の株式をTOBするとしていますが、コロナ騒ぎで今の時価は2000円程度。東芝機械の株主は、村上さんに売れば十分儲かります。
 東芝機械株の買付価格の3456円は、120日のTOB実施決定日の前営業日(117日)の終値3115円に10.95%のプレミアムを加えて決めています。
 買付期間は同日から34日まででした。ところが、東芝機械は買収防衛策の是非を問う臨時株主総会を3月27日に開催すると発表し、旧村上側に対してTOB期間を延長するよう要請しました。
 その後、村上さんが「株主がTOBの応募の是非を判断するのに時間が必要であるため」という理由で、416日まで延長しました。
 東芝機械は総会での買収防衛策の承認を出席株主の過半数の賛成による普通決議としていますが、村上さんは、3分の2以上の賛成(特別決議)が必要としています。このあたりのところはよく分かりません。株主総会で承認されたとしても、決議無効の訴えを起こすということでしょうか。
 村上さんは、持株比率44%を目指してTOBを実施するとしています。仮に44%まで買い進むことができれば、特別決議での承認は無理になるでしょう。村上さんは総会に出席して反対票を投じますので、出席株主の過半数を取るのも難しいかもしれません。
東芝機械の買収防衛策を見ておきましょう。村上さん(非適格者)を除く全株主に対して、新株予約権を無償で割り当て発行するものです。時価2000円程度の株式を持ってる株主に1割や2割の新株予約権を無償で発行しても、TOB価格の3456円には敵いません。
 村上さんから見たらどうでしょうか。3456円は高すぎるので、この際TOBを撤回したいと思っているのかもしれません。しかし、撤回できるのは臨時総会で買収防衛策が可決されることが条件としており、TOBはそれ以外の理由では撤回できないそうです。
 仮に、コロナ騒ぎなく株価が3000円ぐらいで推移していたら、この買収劇はいい勝負になっていたかもしれません。一般株主は経済原理で動くので、TOBに応じると思いますが、機関投資家がどのように動くのかが注目されます。
 機関投資家は投資家のお金を預かって運用しているため、「受託者責任」があります。東芝機械を助けるために、儲かる機会を失ってよいのか、それをどう説明するのか、という点が論点です。
 村上さんがTOBに成功した場合には、株価4000円を超えるような会社になってもらう必要があるでしょう。東芝機械の株価を調べてみたら、過去10年間で4000円を超えたのは1回しかありませんでした。
 まずは、327日の臨時株主総会に注目しましょう。

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